いちばんちいさなうみ

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【読書】『十代に共感する奴はみんな嘘つき』

昨日、疲れている時は「読み切ること」を軸に本を選んでもいいと思う、と書きました。

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 今日は、その時に出会った本を紹介します。

タイトルから痺れます。

『十代に共感する奴はみんな嘘つき』

 

INDEX

 

『十代に共感する奴はみんな嘘つき』

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主人公は17歳の女子高生・和葉。隣のクラスの沢くん(陸上部)に告白するも、「まあいいよ」という気のない返答に激怒、「やっぱやめよう」と撤回するところから物語は始まる。和葉と沢は、放課後の教室に1人残って掃除をしていたヘッドフォン女子の初岡に声をかけ、3人の奇妙な関係ができていくのだが……。

(Amazon商品説明)

 

手に取った理由

・本が薄い

最初に書いたとおりです。

『疲れて本が読めないときは、「読み切ること」を軸に本を選んでもいいと思う』ということを書きました。

この本を手に取ったのは、まさに、そんな時だったのです。

・タイトル

『十代に共感する奴はみんな嘘つき』

しびれるでしょ。これ。

高校生の頃、たまたま手に取った本で「女子高生が自殺しちゃう理由なんて、こんなにライトなものなのよ」って感じの、大人の女性が書いた本を読みました。

すごく、頭にきたんです。

「女子高生って実際こんな感じでしょ?てスタンスなんなの。たしかに、いちいち気持ちを重くする必要なんてない。だけど、こんなにライトな気持ちでもないんだよ。大事にするものが違うだけなのに。実際じゃねぇよ。ねぇんだよ!」

と、謎の激しい怒りを覚えたのです。

このタイトルは十代の私の気持ちかもしれない…と思いました。

・立ち読みした最初の2行

感情はサブカル。現象はエンタメ。

つまり、愛はサブカルで、セックスはエンタメ。

(十代に共感する奴はみんな嘘つき)

いきなり「あーーーーーそうきたか。そうきましたか。」という気持ちでした。

いかにもキャッチーで、まるで数学のような明瞭さに見えてしまう。

出だしから、この強さなんです。続きを読まなければ、と思いました。

 

最初は苦手だと思ったのに…

最初の2行に心を掴まれて買ったものの、読んでみたら、まるで支離滅裂?どれが主人公の心で、どれが外に出た言葉なのか、きいた言葉なのか…読んでいけばわかるんですけど、わかりにくいのです。どっちもごちゃまぜに、文字の中に埋め込んでしまったような印象です。

「どうしよう、読めないかもしれない」と思ったのは、結局、最初だけでした。

だんだん慣れてきます。

「文章に」なのか、「主人公の考え方に」なのかわかりませんが、慣れてきます。

主人公にとっては感情もセリフも全部自分だから、当然なんだなって。

この本自体が自意識の塊なんだなって、それはそれで、すとんと落ちちゃうんです。

 

たった2日間の最強な青春

「主人公の考え方に」慣れると書きましたが、主人公の頭の中はちょっと変わっています。

変わっているというのは、本当は違うんです。

物事の本質を見抜こうとして、ピュアなんて気持ち悪いし面倒臭いって思っているのに、結局いちばん真摯に生きているのが主人公なのです。

告白撤回したはずの沢くんや、ヘッドホンをつけていじめられてると思ってる初岡や、お兄ちゃんとその彼女、友達など、新しい人と出会ってちょっと変わった出来事があって…この全てが、主人公には理解しがたいのです。

…この作品を、高校生が読んだらどう思うでしょう。

もしかしたら、高校生の私のように「大人が書いた女子高生像」としてうつるのかもしれません。

でも大人になってしまったわたしには、青春がぎゅぎゅっと詰まった本に見えるんです。

言いたくないけど…「黒歴史」を、えぐった気持ちです。

学生時代の、なんでも俯瞰してみたいような、自分だけが世の中を知っている気持ちでいて、でも本当はなにもわかっていない…。今思い出しちゃうと、すっごく恥ずかしい過去を、掘り起こされてしまいます。

そしてそんな自分に、蓋をしていたのだと気づきます。

勝手に「若かった」「黒歴史」と割り切って、なかったことにしようとしているのです。

でもさぁ…「そんな大人になりたくない」と思っていたじゃん、私。

だって、私は私が大好きだったよ。

他人に頑固と言われるくらい、周りからみたらこだわりが強くてまっすぐじゃなくてすっごく恥ずかしかったかもしれないけど、わたしは自信に満ち溢れていて、毎日が愛おしかった。自分を貫くカズハとおなじように…って言ったら、やっぱり嘘つきかなぁ?(笑)

そしてこのお話、たった2日間のお話なんです。

たった2日間。

薄いとはいえ、女子高生のたった2日間を、一冊の本に。

こういうのって、ほとんどリアルタイムのような感覚で読めるんです。俯瞰して読むのではなく、どっぷり入り込んでしまう系なんです。

私…たまらなく好きなんです。こういう、1日や2日を書いてる本。

女子高生の2日間…大きな事件があるわけじゃないのに、こんなにも濃厚です。

よかったらみなさん、読んでみてください。 

よかったら、過去に書いた最果さんの『もぐ∞』の記事もどうぞ。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。