【読書】私の少女マンガ講義【萩尾望都さん】
前の記事で、萩尾望都さんの漫画からおススメ5冊を紹介しました。
今日は、ちょっとだけ続き。
萩尾望都さんの『私の少女マンガ講義』です。
INDEX
大人になって理解できた、美しさ
みなさん、萩尾望都さんの漫画、読んだことありますか?
私は、大人になってから読みました。
ポーの一族など、萩尾作品が爆発的にヒットしていたのは親が学生だった時代…。昔のマンガだと思っていたので、進んで読もうとしたことはありません。
絵も「昔の絵」という感覚がありました。まるで宝塚や、ゴシックロリータというような…。
もうちょっと若いときは漫画もお芝居もリアル思考で、そこまで着飾ったものは恥ずかしかったんですね。
今になって思うと、本当にもったいないです。
年齢を重ねた最近は、文学やお芝居は古典作品、音楽もクラシック、美術も内容をわかるようにならなければと思うように…。歴史の深さというか、美しさ、かっこよさを若い時よりも感じるようになりました。
そうなってくると、飾り方が、今度は気になってきてしまいます。
そんな時に出会った萩尾さんの作品には、クラシック、古典、西洋美術……これらの要素がすべて入っています。
ただヒラヒラしている服をかわいく着ているわけじゃあなかったんです(めちゃくちゃ失礼)。
『ポーの一族』の一話を読んで、セリフの美しさ、コマ割りの大胆さ、なにより絵の、美しさ!
読めば読むほど、なんて教養が深い人なんだろうと、この人は天才だと、ファンがこんなに多い理由を実感していくのでした…(そして仲間入り)。
『私の少女マンガ講義』
日本の少女マンガは、世界で唯一つのメディアだ――マンガ界をつねに牽引するハギオモトが少女マンガ史をひもといた、イタリアの大学での講義を完全収録。創作作法や『ポーの一族』の新作『春の夢』など注目の自作についてもたっぷりと語り下ろす。少女マンガってなんでこんなに楽しいの? 魅力の秘密を萩尾先生が教えてくれます。
(新潮社/『私の少女マンガ講義』概要より)
すみません、やっと、本の紹介です(/ _ ; )
表紙が、もう、綺麗ですよね。
やさしくて、美しくて、可愛らしい。
髪の毛の落ち方や服の感触のひとつひとつ、イメージできるくらい繊細です。知らないのに、天使の羽すら感触が想像できませんか?
ですが、この本は、漫画ではありません。
萩尾さんがイタリアの大学での講演について書かれた、インタビューエッセイ。
テーマは「日本の少女漫画」。
萩尾望都さんがこんなテーマで話してくれるなんて、なんて、贅沢。
本の内容は大きく分けると、次のとおりです。
・イタリアでの講演の内容
・講演の内容を、さらに詳しい補足
・自身の近年の作品について
萩尾望都ファンは必見ですし、そうじゃない方が読んでもきっとおもしろいです。
本の感想
そんな萩尾さんの『講義』をまとめたこの本。
萩尾さん本人から、これはこんなことを試すために描いた、など、実際の漫画を見ながら解説を読むことができる本なんです。
短いページ数の作品は全ページ載っていて、読んだことがない方も一緒に読んで、確認しながら読み進めることができます。
マンガを描いている人はもちろん、なにかしらの作品を作る人や、作品を観ることが好きな人にはぜひ読んで欲しい1冊です。
コマ割りに関するお話があるんですが、この本を読み終わってから漫画を読むと、コマ割りを多少気にしてしまうようになりました(笑)。
手塚治虫さんなどのすごさもよくわかりましたし、萩尾さんがどれだけ少女漫画が好きなのかというところまで伝わってきます。
昔の漫画と今の漫画は全然違うような気がしていましたが、こうしてその時の読者に合わせて、時代が流れてきたんだなぁ…と思います。
そして、萩尾さんの作品に、クラシックなどが多く出てくることにも触れられています。ご本人の環境からこういった知識が身について、萩尾さんの美しい感覚が少しずつ物語を紡いでいくのだということがわかって、なんだか嬉しくなりました。
萩尾望都さんの作品は、やっぱり芸術なんです。
萩尾さんの漫画はまだちょっと読めないなという方は、ぜひ、読んでみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。