【今村夏子さん芥川賞受賞】こちらあみ子【ネタバレなし】
今日、いつものようにLINEを開いたら「令和初芥川賞は今村夏子氏」の文字。
仕事で沈んでいた感情が高まりました(笑)
なので記事を書くことにしましたが、ただ、1つ注意があります。
私、『こちらあみ子』(文庫版)しか読んだことがありません。
しかも、今年『こちらあみ子』を読むまで
今村夏子さんを存じ上げませんでした。
石とか飛んできそう!ファンの方本当にごめんなさいm(__)m
よくこれで感情高まったとか言えたなオイっていう気持ちはわかります。
わかりますが、この1冊が心に残っているんです。
INDEX
『こちらあみ子』あらすじ
内容
あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれ兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。書き下ろし短編「チズさん」を収録。
(筑摩書房HPより)
今村夏子さんとは
1980(昭和55)年生まれ。「あたらしい娘」(「こちらあみ子」に改題)で第26回太宰治賞を受賞。本書の単行本で第24回三島由紀夫賞を受賞。
(筑摩書房HPより)
最初に惹かれたのは作者名と主人公と表紙
私の本の買い方は、書店をぐるぐる歩いて気になった本を買う、というものです。
その時の所持金や気分によって、あらすじなどを吟味したり、タイトルや表紙でぱっと買ってしまったりと、特にルールはありません。ただ、できるだけ本を自分の目で見て買うことにしています。
というのは、通販だと趣味が偏ってしまうからです。
こういうことを始めたのは実は去年の年末からで、視野が狭くて、つまらない人間になってしまう!という恐怖心から本屋さんへ赴くようになりました(笑)
その、最初の頃に出会ったのが『こちらあみ子』です。
まず「今村夏子」という名前が衝撃でした。
な、なんてきれいな名前なんだ…!と(笑)
派手ではないですよね。でも「今村」も「夏子」も単体で見ても主張しないのに可愛らしい名前で、う、うらやましい…!と思ったのが、まず最初です。(しょうもない)
次にあらすじの「少女の無垢な視線で鮮やかに描き」というところ。
その時私、心がすさんでいたので…「少女の無垢な視線」←この言葉が刺さりました。「今村夏子」という名前にも似合う表現でした。
最後が、表紙、です。
これ、あまりに気になって、読んでから調べたんです。
土屋仁応さんという方の彫刻で、「麒麟」という作品なんですって。
作品を見るチャンスもあるんですよね。ぜひ行ってみたいです。
まさか表紙が彫刻とは…というか、彫刻とも思いませんでした。なんだか不思議で幻想的な表紙で、手に取ってしまったのです。
この時は所持金との相談で、だいぶ吟味した気がします(笑)
感想
「ネタバレなし」と宣言しました。知らない方にも読んで欲しいからです。
でも…ネタバレなしで感想って難しいですね(^^;
具体的に書けないのでわかりにくいと思いますが、少しだけ書きます。
だけどあみ子について書くことは、もはやネタバレになりそう…そんな女の子なんです。
あみ子の目を通して家庭や学校での出来事を体験することになります。なのに三人称なんです。これに気づいたときは不思議な感覚でした。あみ子の目を通しながらも、客観的に…なんて言えばいいんだろう、大人の目というか、あみ子の目を通しているのに状況を説明されているような…あみ子を超えて、私たちが理解をしているためかもしれません。
また、私はあらすじを読んで買いました。
それなのに読み終えてからもう一度あらすじを読むと、ひとつひとつの言葉が、なんだか重く感じるんです。「少女の無垢な視線」も、想像していたものとは少し違ったんです。
でも「無垢」には違いないのです。
町田康さんは「一途」と表現しています。
すとんっと落ちました。
あみ子をもっと大事にしたいと思いました。
もちろん「今村夏子」さんの名前から勝手に感じた可憐なイメージも、ちょっと変わりました(笑)
これも言葉がうまく出てきませんが…可憐に、真摯、芯の強さ…そんなものが加わった感じです。
ストーリーはいろんなことが、気持ちの良くないことが起こるのに、文章に透明感があるので純粋が高まって…つらいです…。でも私はこういう文章が好きなので、一気に今村さんのファンになってしまいました。
最後に表紙、読み終わってから調べたんです。
まさか「麒麟」とは…!と、胸をぐわっと掴まれました…。
本当に最後がぐちゃぐちゃになってしまいました…すみません><
記事にするには…私には難易度が高い本でした。
でも、宝物になってます。うまく言葉にできませんが、大好きな本です。
今日受賞した「むらさきのスカートの女」を読んでからでも、ぜひ、読んでみてください。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!